誤りだらけのThunderboltの記事

Thunderbolt

ふと、Thunderboltの情報を見ていたら、ひどい記事を見つけた。

Computer World
http://www.computerworld.jp/topics/561/ストレージ/201045/驚異のパフォーマンスを持つThunderboltの今、そして将来展望
驚異のパフォーマンスを持つThunderboltの今、そして将来展望
Thunderboltは、USB、そしてeSATAを凌駕するか
(2011年11月07日)

訳が酷いのか元記事から誤っているのか・・・。

というわけで、元記事を探したら簡単に見つかった。

IT World
http://www.itworld.com/networking/204673/thunderbolt-beyond-usb-and-esata?page=0,0
Thunderbolt: Beyond USB and eSATA

比較してみたところ、主に翻訳がよろしくないようだ・・・。

Computer World(翻訳記事) USB3.0は625Mbit/秒(Mbps)に達している。また、eSATAでは最大300Mbpsを処理できる。
IT World(元記事) USB 3.0 can hit 625 MegaBytes per second (MBps) and eSATA can handle up to 300 MBps.
→まともな訳 USB3.0は625 メガバイト/秒(MBps)に達している。また、eSATAでは最大300MBpsを処理できる。

・・・これ、ほんとうに理解している人が訳しているのか?と思うような根本的な単位の間違い。
Mbps = M bit/sec (1秒あたりのビット数)
MBps = M byte/sec (1秒あたりのバイト数)
そして、(ほとんどの場合は)
1 byte = 8 bit
と考えて良い。

さらにここで、

Computer World(翻訳記事) さらに、Intelの研究所から始まり、Appleによって実装されたAppleの秘蔵っ子とも言うべき最新のインターフェイス・テクノロジーであるThunderboltは10Gbit/秒(Gbps)で電光石火のごとくデータを転送する。
IT World(元記事) Intel's creation and Apple's newest darling interface technology, Thunderbolt can blast data along at 10 Gigabits per second (Gbps).

というのだから、この誤訳のままくると、かなり印象がおかしくなる。
確かに、Thunderboltは早いけど、単位が揃っていないので、実際以上にとんでもなく早く見える。

USB3.0 は Gbps で書くと、4.8 Gbpsです。
eSATA も、3000Mbps ==> 3 Gbps
Thunderboltは 10Gbps (当面)

というわけで、現在の仕様では、という限定はつくが、早いといっても 2〜3倍程度です。


次。

Computer World(翻訳記事) ワイヤーベースのThunderboltは最大10ワットの電力を送電できるようした(USB2.0および3.0は最大5ワットまでサポートしている)。
IT World(元記事) wired based Thunderbolt could transfer up to ten watts (10W) of power (USB 2.0 and 3.0 can only handle up to five watts).

これは元記事も誤っている。

USB2.0 … 500mA(5V) ==> 5×0.5 = 2.5W まで
USB3.0 … 900mA(5V) ==> 5×0.9 = 4.5W まで

・・・まあ、四捨五入したらUSB3.0は 5W だからまあまあ良いのかな。

Computer World(翻訳記事) SCSIチェーンでは1回で4台が機能する。
IT World(元記事) I could usually get SCSI chains to work one time in four.

・・・ん〜と、SCSIはIDを最大8個(or 16個)割り振って同時に繋げたと思います。
(コントローラがIDをひとつ使うので、実際に接続できるデバイスは7台(or 15台)だった気がする)

4台ってどっから出てきた?(著者が使って出来てた、ってだけかな。ここに書く意味は一体…。)

Computer World(翻訳記事) AJA System Testセットを用い、4Kフレームの16GBを使ってテストを行った。Little Big Diskは835.5Mbpsの平均読み取り速度と353.1Mbpsの平均書き込み速度を記録した。
IT World(元記事) Using AJA System Test set to use 16GB of 4K frames (to really push it), the Little Big Disks delivered an average read speed of 835.5MBps and an average write speed of 353.1MBps

835.5MBps(元)→835.5Mbps(誤訳)
353.1MBps(元)→353.1Mbps(誤訳)

しつこく間違っていますね…。
誤訳の速度だと、最近のHDD単体+SATAでも普通に出ますね・・・。


・・・と、そういうわけで、主に bps(bit per sec)とBps(Byte per sec)の間違いでした。
記事は鵜呑みにしないようにしないといけないですね。