スタジオジブリ「君たちはどう生きるか」

またまた1年以上書いていませんでした。

さて、スタジオジブリの長編アニメ「君たちはどう生きるか」。 例のアオサギのイメージボードっぽいのが1枚だけという、本当に思い切った、純度の高い「宣伝しない宣伝」。 7年間かけて制作したというので、その間一切情報出さないというのは、なかなか徹底している。

宮崎駿という知名度がなければ、完全に成り立たない手法。 かくいう自分も、どこかで聞いた覚えはあったが、すっかり忘れていたほど。

・・・見てきました。 本日(2023-07-17)、最寄りの映画館(=片道車で1時間ちょい)である、イオンシネマで。 昨日、観に行くことを決め、今朝、座席の予約をしてから向かった。 早朝の時点で、9割の座席が埋まっていた。 幸い、ちょうど中央の席が1つ空いていたので、そこをGet。 (本当は Dolby Atmos の映画館に行ってみたかったんだけど、片道2時間かかるのでやめといた)

7/14公開だったので、公開から3日目。 ・・・客席は、ほぼ満員です。

事前情報無しでこれだけの集客力があるのだから、、、本当に大したものです。

始めの方、「風立ちぬ」っぽく丁寧で不気味な描写。 途中で、あ、よかった、久石譲の旋律だ、とは思ったけれど、ピアノ中心でかなり抑えたミニマルな感じの曲がほとんど。

着物を着た女性の所作がものすごく細かく、美しい。

徐々にホラーと言うか、ファンタジーの色が濃くなってくる。 ・・・が、結構ついていけない感があり、主人公が自分の頭を石で叩くあたりから、少し心配になってくる。

かなり多くの謎めいた描写が多い。

ただ、始めの方は、風立ちぬを彷彿とさせる登場人物、背景描写、所作。

で、アオサギ。 彼は何しに来たんだ?(いや、依頼されて連れに来たのではあるのだろうけれど)どういう関係者なんだ? 最後まであまり良く分からなかった。

そういえば、「新しい母親」も、なぜ向こう側に居たがったのだろうか。 一見しただけでは、とても読み取れないような場面がものすごい勢いで出てくる。

ポニョの最後の方の感じが、次々と、延々と続くような印象。

とにかく、あちらの世界に行くわけだが、、、あのおばさんは何者。

アオサギの立ち位置も怪しい。 いろいろ魔法的な現象の説明が出てくるが、(これまでも千と千尋の神隠しや、ハウルの動く城などで、端的にいきなり説明されるものがあったが)今回はこれが頻発しすぎていて、頭が追いつかない。

色々な場面のイメージは本当に素晴らしい。 これまでに、どこかで見たようなイメージが出てくるのも、これはこれで悪くはない。

ただ、なんだろう、この、スタジオポノック感。 なんで?とか、そうはならんだろ、的なツッコミを許してしまうような展開だった。 (これまでの宮崎駿作品だと、その辺りは圧倒的なイメージや描写力で気にさせないという勢いがあったけれど・・・)

ワラワラが可愛い、とか(ペリカンにめっちゃ食われるけど・・・)、母親が可愛い、とか、石のバリバリした電撃みたいな描写や、炎の描写が気持ちいいとか、生活の描写が生々しく繊細であるとか、鳥の仕草が鳥っぽいとか、、、、素晴らしい点はたくさんある。

しかし、鳥の王?の行動が全然わからないことや、積み木の謎(最後あんなことして良かったのかね。崩壊後も、そこまで酷いことになってなかったし・・・)とか、私には読み取れないことが多すぎた。

この観劇後のなんとも言えない感じ。 なにか人と話そうという気持ちがなかなか出てこない、これは、ちょっと今までのジブリ作品に無いくらいかもしれない。 (うーん、だからあえて宣伝やめたのかもしれない、とも思った。これをどう宣伝するかは本当に難しいかもしれない。たぶん。鈴木敏夫もその辺りわかっているんじゃないかな・・・)

ちょうど、新海誠の「君の名は」を観たあとの感じと、ちょうど正反対な気持ち。 あのとき、「ずいぶん、なりふり構わず一般受けに寄せてきたな・・・。しかもそれが成功していて、ちょっと悔しけど、これはかなり当たるだろうな・・・。」と思ったのだが、今回はその逆パターンな気がする。

多分、私の見方が今のところかなり表面的で、いろいろ読み取れていない部分はあると思うが、一般興行的に当たるかどうか、と考えると、、、、無理、じゃないかなあ。。 宮崎駿の新作ということで、とてもとても、期待していたこともあるけれど、そういう次元ではなく・・・。

これから色んな情報が出てくるかもしれないが、宮崎駿自身が、当てようと思っていなかったのではないかな。もしくは、当たらないことをわかっていてなお、作ったという感じかもしれないと勝手に思う。 少なくとも、これが大衆受け(という言い方も良くないですが)するとは思っていないのではないかな。

あ、れ、、、。ここで、終わり?! みたいなところも。そういえば、「おわり」って今回出てこなかったな。。。

もしかしたら、TVシリーズとして時間をたくさんかけるストーリーで描けたら、面白くなったのかもしれない。

なにか、テーマの上で「鳥」は重要なキーになっているのだろうか。

ファーストインプレッションのまとめ↓

  • スタジオポノック感・・・。
  • 二ノ国とか、メアリと魔女の花みたいながっかり感。ただ、底が浅い感じはしないのは救い。
  • 『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』を観たときの、”我々は、一体何を観させられているのだ”感に近いものがあった。
  • 鈴木敏夫、ポニョのとき以上に、仕事しなかったな!(押井守がポニョに対して言っていたような意味で)
  • いろいろ詰め込みすぎ・・・。
  • 動機がわからず、感情移入が追いつかない
  • この映画の音楽、という感じの旋律が全く頭に残っていない・・・。

気になる人は、ぜひ観に行って、このなんと表現してよいかわからない観劇感についてコメントしてほしいです。