英語能力指数(EF EPI)ランキングの日本語報告書に違和感

Education Firstというところが出している、世界の地域・国別の英語能力の調査結果を見た。
この会社がどんなものであるのかは、以下のとおり。

EFはEducation First(『教育を第一に』という意味)の略で、1965年に事業主であるバーティル・ハルト氏により設立されました。
(中略)
EFはこれからも、言葉・地理的条件・文化の違いに立ちはだかる壁を壊すことを理念とし、高度な教育プログラムを通じて、様々な年齢・国籍の人々が真の世界市民になるためのお手伝いをしていきたいと願っております。

http://www.efjapan.co.jp/about-ef/company/

ランク的には、日本は「54国中22番」と、真ん中のちょっと上だが、カテゴリ的には真ん中の、ちょっと下の位置。
正直、もう少し下かと思った。

報告書を読んでいくと、「言葉・地理的条件・文化の違いに立ちはだかる壁を壊すことを理念とし」というには、あまりのも「英語ができなければ全てダメ」「もっと英語力高めるべき」という書き方が露骨で、

公的機関、つまり、政府機関で勤務する従業員の研修に
も英語は使われておらず、国としての役割りが果たされ
ていないといえます。

などとまで書かれていて、…押し付けがましさが半端ない。必要ないから使ってないだけだと思うのだが、そこまで言われるのはどうかと。
(「Education First」でなく、「English First」なんじゃないのか、と皮肉を言いたくなるぞ。)


で、何が気になったかって、アジア地域の報告の文章。

http://www.efjapan.co.jp/epi/asia/

  • 謎の半角スペース多数。(「非常に」が「非 常に」になってたり、単語の区切りも関係ない)
  • 本文中は、インドではなく「インディア」と表記。
  • パラグラフが変な所で切れてる。

「英語は随分昔 から学校教育に取り入れられており、子供達は小学校か

 

ら英語を習い始めます。」

  • 「マンダリン(標準中国語)」・・・これは英語での「Mandarun Chinese」(北京官話)を意味する言葉だと思うが、直訳か。日本語では、「標準中国語」あるいは、「普通話」(中国語をそのまま日本語の漢字で表記)の方がしっくりくる気が。少なくとも、中国語に触れたことのある人ならそう書くと思う。

・・・ええ。粗探しかもしれません。
それは分かっているんですが、先に書いたとおり、この報告書がすごく押し付けに見えて違和感を覚えるんですよ。
報告書の元はもちろん英文で、それを日本語に翻訳したのだと思いますが、言語を扱う会社なら、しかも英語力、英語教育を強くいう会社なら余計に、他言語には気を配って、最低限、きちんとした文章で書くべきなんじゃないかと思うわけです。

そうじゃないと、そんなに英語が出来る事が偉いのか?と変な反感を覚えてしまいます。


私自身としては、英語ができるに越したことはないし、便利だと思うし、確かに多くの人と話せる共通語としての役割は大きいと思っています。
素直に、もっと英語力を高めたいと思っています。


でも、確か世界で最も話者が多いのは中国語だったと思うし、ブログで使用されている言語で一番多いのは日本語だったりする、とか、何でもかんでも英語が一番というわけでも無さそうです。


http://www.efjapan.co.jp/epi/downloads/
http://www.efjapan.co.jp/__/~/media/efcom/epi/2012/full_reports/ef-epi-2012-report-jp-lr

PDFの報告書↑も見ましたが、データの分析についてはどうなの?と思うような結果が随分と。
年齢とスコアの関係とか、面白い分析結果も結構ありましたが、「サービス業における貿易事業(GDPの割合)」とEPIスコアとの相関とか、「ビジネスの行いやすさのスコア」や「人間開発指数HDI」、「国が教育に費やすGDPの率」との相関とか、・・・なんかこじつけと違うか?そもそも相関(決定係数)自体が低めの気がするし。少なくとも、原因と結果の関係とはいえないだろう。英語力さえ上げれば、GDPが上がるとか、そういう意味ではないと。


報告書読んでみた印象として、なんというか、「日曜辺りにポストに入れられていたりする、薄めの宗教冊子」に、文章の雰囲気等がすごく似ていた。