『テルーの唄』が効果的に使われていない。

宣伝ですっかりお馴染みになっていた挿入歌、『テルーの唄』。
この歌自体は、すごく気に入っています。
監督が一目惚れ(一耳惚れ?)するのも分かります。

ですが。

…何であんな風に使うのでしょう。

あまりに唐突。いきなりテルーが歌っているのは別に良いんだけど、完全にアレンの視界に入ってから、最初から歌い始める。
(唄が聞こえてきて、そこに行くとテルーが歌っていた、というような演出ではない)
つまり、アレンが歩いてきて、「あ、テルーがいる」と気付いてから、一呼吸おいて唄が始まるという。

そして、伴奏も無しで、最後まで歌う。
…1番で終わるかと思いきや、2番の最後まで歌い切る。

いくら何でも、長すぎです。他の客も、完全にだれているのが感じられました。
1番全部でも長いのに、2番に入ったときは、耳を疑いました。まわりお客さんも、おいおいと言う感じになっているのが分かります。
どう考えても、あの演出はあり得ません。

どんなに良い唄でも、5分近くも映画中で歌わせるにはかなりの技術が必要だと思います。
この作品では、それには失敗しているように感じられました。


…何というか、全体的にテンポが悪い。
カットが変わるときも、自然な感じではなく、あ、ちょっと場面が飛んだ、と思うことが多々。
(例えば、外から家に入る場面で、視点(カット)が変わったときに時間を少し省略するのはよくあることですが、普通はそれが気になったりしません。
しかし、それを意識してしまうところが多かったように思います)

何だか、場面が不連続にブツ、ブツ、と切られている感じ。不器用な印象を受けました。